画家・馬場 敬一のブログ
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所在

母が他界して2年と少し。
あの日はまだ遠い昔にはならず、そのまま延長線上に今に繋がっています。
それでも生活は少しずつ形を変えています。

昨年末から今春に掛けて、母が残してくれたこの家を自らの手で改装し、4月にパートナーを我が家に迎えました。
母の気配だらけだった我が家は一新され、母と暮らしていた頃とはまるで違う新しい時間が流れています。
現在の人生のパートナーである彼女が、この家で暮らす事を決意してくれた事、そのお陰で過去を塗り替える改装に踏み切れた事、そして現在生活を共にしてくれている事をありがたく感じ、日々を過ごしています。

僕には、これまでとは違う新しい場所が出来ました。
新しい場所と言っても、30年暮らしている同じ場所の同じ家。
一新されたのは、僕の心と身体双方の拠り所、所在です。
それがこの改装された家であり、一緒に日々を過ごしてくれている彼女の存在です。

そんな今も、僕のかつての所在であった母はちょくちょく夢に現れます。
手を繋いで街を歩いて、ご飯屋さんを探しているという様な何気ない夢。
目が覚めると、手に母の身体の柔らかい感触が残っている事もあり、寂しい気持ちに包まれたりもします。
それでも、夢で会えるのは嬉しいものです。

かつて僕が居た所在は、母が僕を産んだ時点で既に約束されていたものでした。それは、親という絶対的な存在に護られていました。
僕と妹には、その揺らぎない場所が無くなってしまった。

そんな所在無き不安。

それは、自分という存在のアイデンティティとか証拠とか根拠が消えてしまった様な居心地の悪さ。
所在無き根無し草の様な足元の不安。


現在の僕の所在は、僕とパートナーとの意思が築いたもの。互いの自由意思によるこの所在には、やはりなにかしらの条件が見え隠れします。産まれた瞬間から無条件で生き暮らす事が出来た居場所とは、それはやはり違う。

親という無条件の所在を失うという事は、やはりとても心細いものだなぁ。
この世に産まれ落ちた瞬間に無条件に与えられた所在とは、自分だけの不動の居場所でした。
それが、親という唯一無二の所在でした。

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